第1-11話 えちけんの幼少期と七つの習慣(6歳-その4)~あこがれのスーパーカー
えちけんの歴史を七つの習慣によってひも解く。
これは、えちけんが幼稚園の年長組の事の出来事である。
えちけんは毎朝幼稚園の送迎バスに乗って登園していた。
1.えちけんの歴史
えちけんのマンションから幼稚園までの道のりは、鼻水小僧えちけんにとってはジャングルも同然だ。
そんな危険からえちけんを守ってくれるスーパーヒーローがいた。
それは「すずめ号」だ。
白い巨体の真ん中に真っ赤なラインの装飾。
目はギラッと大きく、遠く先の未来までをも見通しているかの如く。
多くの幼児をその体の中で包み込むように守っている。
これこそが、幼稚園の送迎バスのエリートクラス。
えちけんは震えた。
あまりのカッコよさに。
毎朝のすずめ号での登園は、えちけんにとってはリムジンで悠々と送迎されるVIPと同じ感覚だ。
もう、永遠のすずめ号に乗っていたい、そんな気分であった。
しかし、その一途な思いが音を立てて崩れ去る瞬間がやってきた。
ある日、いつものようにすずめ号にのって登園していた時の事だった。
いつもと変わらない人々。
いつもと変わらない風景。
気付かなくてもいいのに、えちけんは気付いてしまった。
きっと、毎日そこにいたであろう物に。
たまたま、そちらに目が向いたために気付いてしまった。
それは、すずめ号よりも小さいが、同じく白い巨体のバスだった。
すずめ号の赤いラインの装飾とは異なり、その巨体には全ての生き物の心を安らぎで包み込む緑のラインの装飾が施されていた。
えちけんは、一瞬で心を奪われた。
決して、無いものを欲しくなるという、愚かな人間どもの習性ではない。
えちけんは、すぐさま調査隊を派遣した。
「あれの名前はなんだ?」、「なぜここにいる?」
間もなく情報が入ってきた。
あれの名は「つばめ号」。
えちけんのマンションがあるエリアの逆のエリアを飛び回っている送迎バスだ。
すずめとつばめ。
つばめの方がカッコいい。
えちけんの心はさらにつばめ号に奪われた。
つばめ号の担当エリアへの引っ越しも考えた。
しかし、えちけんにそれを実行に移す勇気も経済力も無い。
もはや、つばめ号に乗る事が出来ないということは明白な事実だ。
だから、尚更、つばめ号に夢中になる。
朝起きた瞬間も、トイレに座っている時も、ご飯を食べる時も、寝る時も。
ああ、つばめ号、つばめ号、つばめ号・・・。
えちけんの脳内はつばめ号に支配されてしまった。
しかし、その後えちけんがつばめ号に乗る事はなかった・・・。
来世ではいっしょに登園しようね、つばめ号・・・。
2.七つの習慣解説
えちけんは、脳内を完全につばめ号に支配されてしまった。
それは、えちけんの人生が無意識のうちにつばめ号に支配されているのと同じ事だ。
第一の習慣、主体性を発揮するのポイントである自分の人生は自分で選択するという事に反してしまっている。
今ならば、つばめ号に支配されない人生をその場で選択できたであろう。
アリガトウ、スズメゴウ!!
アリガトウ、ツバメゴウ!!
マタイツカ、イッショノトキヲスゴソウネ・・・。
↓ポチ頂けると励みになります。m(_ _)m