第1-8話 えちけんの幼少期と七つの習慣(6歳-その1)~ロボットえちけん
えちけんの歴史を七つの習慣によってひも解く。
これは、えちけんが幼稚園の年長組の事の出来事である。
当時は2年制の幼稚園が主流であり、えちけん6歳のお話となる。
1.えちけんの歴史
ある時、運動会でマーチングを行う事となった。
マーチングには指揮者という花形ポジションがある。
隊の先頭になって、烏合の衆を率いる、最高の優越感を勝ち取れるポジションだ。
えちけんは奇跡的に選ばれた。
この広大な宇宙の中で地球に生命が誕生したように、旅行先で幼馴染と再会したように、神のいたずらの如く、奇跡的に選ばれたのだ。
その、誰もが喉から何本もの手をだして、時には周りの者を蹴散らしてまでも手に入れたがる『指揮者』というエリートポジションに。
その理由は覚えていない。
背が高かったからか、他の楽器の才能がなかったからか。
しかし、選ばれた瞬間の光景は今でも脳裏に焼き付いている。年配の女性園長先生が高台にたっており、
「キミね。」
と指でさされたシーンだ。
そして、その時の感情は、「無」だ。嬉しくも悲しくもない、まるで冷たいロボットのような「無」の感情だ。
実は、指揮者はもう一人いた。
2隊あったようだ。
もう一人は小さな女の子だった。
そして、練習を積み重ねていくうちに、園長先生が鬼に化けた。
えちけんは、指導された「指揮棒をくるくる回す」という技がどうしてもできなかったようだ。
えちけんとしては、できない事に何の悔しさも感情もない。
何度も、何度も、このえちけんのために、他の園児達が同じことを繰り返し行う。園長先生の声も、威圧度が増してくる。
周りの先生たちも、園長先生のイライラ感に比例して、ヒヤヒヤ感を増幅させる。
園長先生は心の中で、このどうしようもなく、向上心のカケラがミジンコ大きさ以下しかないえちけんを、指揮者に選んだことを後悔していたであろう。
そして、自ら選択した道の先にあった蟻地獄に引きずり込まれてしまったのだろう。
そして、ある時こういった。
「もう、それいい。」
えちけんは、「指揮棒をくるくるまわす」技を免除された。
園長先生に諦められた時の感情も特にない。
ロボットの心のままだ。
ふつうは、「あー免除されてよかった。」「くそー、とうとうできなかった。」とか思うのだろう。
ただ、一つ心に引っかかったシーンがある。
もう一人の女の子の指揮者が「指揮棒をくるくるまわす」をマスターしており、その女の子だけは、「指揮棒をくるくるまわす」技を披露するということが、なんとなく理解した時だ。
少しだけ、ほんの少しだけ、人間の心が芽生えてきた。
「ス・コ・シ・ク・ヤ・シ・イ・・・。」
2.七つの習慣解説
第一の習慣「主体的になる」
第二の習慣「目的を持って始める」
えちけんには、この当時は第一の習慣も第二の習慣もまったくゼロレベルだ。
もっと、目的をもって指揮者という枠割に取り組むことが出来れば、もっと主体的に指揮者の技を身に付けるべく、試行錯誤をしたであろう。
しかし、最後に少し垣間見れた「悔しさ」が注目すべきポイントだ。
これは、女の子に負けた悔しさというよりも、「自分自身に負けた悔しさ」だと思う。
「何でもっとがんばらなかったんだろう」
えちけん少年が、このような感情を持ち始めた最初の出来事だったと思う。
※しかし、何で指揮者に選ばれたのか・・・、今世紀最大の謎・・・。
ガンバッタネ、エチケン!!
ニンゲンニナレタネ、エチケン!!
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