第1-1話 えちけんの幼少期と七つの習慣(4歳)~ママチャリの後ろで
えちけんの歴史を七つの習慣によってひも解く。
これは、えちけんのもっとも古い記憶である、4歳の頃の物語である。
1.えちけんの歴史
えちけんの母は専業主婦だった。
従って、4歳のえちけんは保育園には入っておらず、毎日母と時を過ごしていた。
母は、何やら習い事をしていた。
母が習い事に出かける際は、えちけんは母の運転するママチャリの後部座先に座って、共にでかけていた。
ある時、えちけんは何を思ったか、母の優しさで満ち溢れている、暖かい背中にしがみつきながら数字を数え始めた。きっと数字を覚えたての頃だったのだろう。
えちけん「1から100まで数えるね。」
母「うん。」
えちけん「いーち、にー、さーん・・・ひゃく!!」
母「すごいね。」
その時の、母の運転するママチャリの後ろで、気持ちの良い風が頬を滑っていく感覚を朧げに覚えている。
そして、母の「すごいね。」という、感情が高ぶるまではいかないが、嬉しそうな、バラードのBメロのような言葉が、ママチャリと一体になった僕たちがかき分けた風に乗って届いた。
今この時も、脳の神経の迷路をかいくぐった末端の位置で、この時の言葉はしっかりと生きている。
その風景を、これまでに何度か思い出す事があったが、その度に、1から100までを数えたにしては、速かったなと思う。
おそらくであるが、途中をとばしていたのであろう。
2.七つの習慣解説
ところで、母はなぜ間違いを訂正しなかったのだろうか。
おそらく第三の習慣「重要事項を優先する」を発動したのだろう。
ママチャリ上では、周囲の様々な雑音により、複雑な言葉は、えちけんには届かない。確かに間違いを正すことは、「重要」ではあるが、その時の状況を考慮すると、「緊急」ではない。
一方、母が選択したえちけんを誉める行動も、「重要」ではあるが「緊急」ではない。どちらも同じ第二領域に入る。同じ第二領域内での選択・・・、なかなか難易度の高い選択だ。
その場合は、どちらの選択肢が、その瞬間に効果的かを考える。
間違いを正す行動は、上述したように、周囲の雑音により、目的が果たせない可能性が高い。一方、誉める行為は、短い言葉である事と、えちけんが良く知っている言葉であるため、確実に伝わる。
ならば、後者の「誉める」を選択しよう。
母はその0.1秒の間で、どこかのオジサンがくしゃみを出すか出さないかの運命の岐路に立ったその瞬間、全神経を全細胞をたたき起こし、どちらを選択するべきかを考え、その光輝く道を選択したのだ。(ほんまか?)
さすが母。
このえちけんを世に送り込んだ人物だけはある・・・。
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